過密過疎

 過疎とは、急激な人口の流失によって、ある地域が防災、教育、保健など地域共同体の基礎条件の維持が難しくなる状態。
 進行すると、地域共同体が崩壊し、耕作地は放棄され挙家離村で集落が消滅する。
 都市部の人口集中による「過密」と裏腹の現象で、両者合わせて「過密過疎」と云われる。
 60年代の急速な高度経済成長に伴い社会現象化した。対策を求める要望が高まり、議員提案で過疎地域対策緊急措置法(現過疎地域活性化特別措置法)が成立。一定の要件に該当する市町村を「過疎市町村」と指定し、道路整備、産業振興など対策を講じている。
 89年までに約25兆円が投じられたが、歯止めがかからない。
 進学、所得格差解消や生活利便の向上を求めて若年層を中心に流失が続く。
 過疎化の人口は高齢化し、死亡の数が出生を上回る自然現象と云う新たな事態を迎え、地域崩壊の崖っぷちに立たされている。
 経済発展の国土の均衡ある発展を目指した戦後の日本の歴史は一方で、過疎と云う内陸部の“空洞化”を拡大再生産してきた歴史とも云える。